かかりつけ歯科医だからこそできる!0歳からの口腔機能育成と安心安全な咬合誘導

by inoueshika on 4月 3, 2018

平成30年2月4日 子どもの咬合を考える会 第3回会員研修会
「かかりつけ歯科医だからこそできる!0歳からの口腔機能育成と安心安全な咬合誘導」
講師  清水歯科クリニック 清水清恵先生

 

  歯医者に定期的に受診している人(年に2回)は全ての病気にかかる年間の総医療費が低くなる傾向があるというデータが発表され、歯医者に通うことで高齢者以外でも生涯の総医療費を減らせることが判明しました。全体的に年々、治療のみから予防へと来院動機が変わっていっているようです。

  歯列不正が現れる前、まだ歯が生えていない頃から口腔機能障害は身近に存在しています。早期にそれに気付けると健康を維持する力が自然と身に付きます。

  新生児期~乳幼児期(0歳~3歳)は口腔機能の発達がとても速く、ぐんと成長します。哺乳期の授乳時から口腔機能の育成は始まっています。授乳の動作で正しい乳児型嚥下をするためには浅くくわえさせる(浅のみ)のではなく、大きく口を開け深くくわえさせます(深のみ)。そうすると嚥下のときに必要になる舌の基本的な動作が身に付きます。普段はやめさせる指しゃぶりやおもちゃを口に入れて舐めたりするのも哺乳期にはさせて良いそうです。口の中で認知する動作で口唇や舌を使うので大切なことなのです。

  離乳期には成人型嚥下へ移行するので、口がちゃんと閉じて食べられているか、口元の動きをチェックします。必ず子どものペースでゆっくり口の中に入れるようにします。大人のペースで次々と入れるのはいけません。手づかみ食べをする時期も食べやすいように一口台にカットしがちですが、自分の歯茎で噛み切らせるようにします。口の周りなどを汚してしまいますが、手で物体を認知するようになる時期です。

  食べる機能の獲得は一人ひとりそれぞれのペースで成長していくので、現在の段階を知り、それに応じた補助をすることで基本的な摂食嚥下機能の獲得が出来ます。無理をして次の段階のことをさせる必要はないということを知りました。

  3歳ごろから口腔筋機能の発達がゆっくりな子どものサポートをするのが『MFT』です。『MFT』は舌に関する機能トレーニングが多くを占めますが不正咬合を治療するためのものではありません。今回の研修会ではいくつかのトレーニングを知ること、それに加えて研修中に実践したことで、どのようにして促せばより良いトレーニングに出来るかを学びました。このトレーニングは来院してくださるお子さんにも実践できることなので、今回参加できなかったスタッフにも伝えて、院内でどんどん取り組んでいこうと思いました。