子供の咬合を考える会
「不正咬合は予防できる!不正咬合は病気です!早期治療による口腔機能の改善」

by inoueshika on 5月 11, 2018

2018年4月22日 子供の咬合を考える会 第22回記念特別講演会
「不正咬合は予防できる!不正咬合は病気です!早期治療による口腔機能の改善」
講師 朝日大学歯学部客員教授 凌雲堂矯正歯科医院 鈴木 善雄先生

 

セミナーレポート  歯科助手 吉田光代

 今回の公演会では、鈴木先生が医院で行った睡眠時無呼吸検査結果にとても興味がわきました。来院する不正咬合の子供の71.2%が睡眠障害を抱えているという結果と、検査結果から顎骨の不調和や歯列不正といった形態的な問題と呼吸・睡眠といった機能的な問題に関連があると考える鈴木先生のお話しに、驚いたのと同時に自分自身の周りにいる子供や大人の口腔内が頭の中に出てきました。
 子供でそんなに睡眠障害を抱えている子がいるか?と思いましたが、実際自分の頭に浮かんできただけでも10人以上はいました。睡眠時に呼吸が止まっていたりする子供に共通しているのは、アレルギー性鼻炎の為常に口を開けているので口呼吸で扁桃腺がかなり大きかったり、舌癖があり上顎前突ぎみで歯列不正で軟らかい物を好んで食べている…などでした。小学校低学年ですでにこのような症状が見受けられた子供達は今現在、数人は矯正治療を始め扁桃腺も手術をしたと伺いましたが数人の子供達はそのままです。矯正治療をしていない理由として、経済的に矯正は無理と言っていたのを覚えています。
 鈴木先生のお話しでは、早期矯正治療がなぜ大事かを教わりました。歯が綺麗に並ぶだけではなく、上顎・下顎の前方への成長を誘導し舌の癖を治し気道の拡大、鼻呼吸ができ呼吸障害の改善から健やかな成長に繋がっていくこと。この早期矯正治療の意味など知らずに子育てをしている方がたくさんおられるのが現状だと思いますし、知っていても経済的な理由で治療ができない方もたくさんおられると思います。
 「不正咬合は病気です。」目に見える傷は無いし痛みもないから病気ではないわけではない。鈴木先生の言葉が耳にのこっています。保険治療が適応になればもっとたくさんの子供達の口腔内が改善され健やかな成長を誘導できる歯科が増えるのではないか、また不正咬合は病気だという知識をもっとたくさんの子育てをいている親御さんに知ってもらいたいと思い、歯科で勤めるスッタッフとしてこれから何ができるかを考え、たくさんの患者様に伝えていければと思います。

 

セミナーレポート  歯科助手 太田愛美

 今回の講演会で、子どもの不正咬合はやはり早期治療が必要なのだと強く思いました。
 近年、口呼吸をしている子どもが多く、アレルギー性鼻炎・鼻閉による鼻呼吸障害、アデノイド・口蓋扁桃肥大による気道の減少が原因だと言われているそうです。気道が減少してしまうと、鼻で呼吸することが難しくなり、必然的に口呼吸になってしまいます。そうすると、無意識下で常に口蓋についていないといけない舌が落ちてしまい舌の挙上不足に陥り、低位舌になります。不正咬合の子どもの歯列は大体、臼歯が内側に倒れているそうです。低位舌のために臼歯の上に舌が乗り、その舌の重みで内側に倒れてしまうのです。臼歯が内側に入ると口腔内が狭くなり咀嚼しにくく、嚥下もしにくくなります。その結果咀嚼能力が低下し軟食化に繋がってしまいます。噛まなくなると顎が広がらず、永久歯が生えてきた時には歯列不正に…と悪循環です。一つ崩れてしまうとどんどん生活に支障が出てきます。そうならないためにも、矯正治療に早く取り組むことが大切なのです。
 矯正治療で矯正装置を使い顎を広げ、気道の拡大や口腔容積を増やし、舌背を口蓋につけるためのトレーニングを行い舌の挙上促進・舌機能の向上を目指すことによって、口呼吸の改善・口唇閉鎖力の向上・咀嚼能力の向上に繋がります。患者様にはなぜこのような治療やトレーニングをするのか、目標と理由を明確にして不正咬合の早期治療がこんなにも大事なのだということを伝えなければいけないと感じました。
 「不正咬合は病気」と講師の先生はおっしゃっていました。病気だとわかっているのに放っておくのはおかしいし、病気なのであれば早く治療すべき、病気だから予防も出来る、と。確かにそう思いました。私は何度か講演会や勉強会に参加させていただき知識を得て自分に子どもが出来たら実践したいことがいくつもあります。とても幸せなことだと思います。これを来院されるお子さんがいる患者様に伝えていきたいと思いました。

 

セミナーレポート  歯科衛生士 東岡 友紀

 講師の鈴木先生からは、現在不正咬合を抱えている子供が多い事、さらにその7割の子供達が睡眠障害を患っている事、またその子たちにとってより良い生活を送れるように矯正治療がどの様に関わっていけるのかを教えて頂きました。

 子供の睡眠障害は深刻で、熟睡できないため、寝起きも悪く日中の集中力低下を招き、更には成長期における発育低下も招くそうです。早期に矯正治療を行うことで機能的改善を図り、睡眠障害は改善されるそうです。
 また、不正咬合が起きる原因には、鼻炎などのアレルギー、アデノイド等の疾患が大きく関っているため、不正咬合が起こる前にそのような疾患に気づき耳鼻科的な治療をすすめていくのも私たちができることの一つであると感じました。

 多少の歯列不正だと感じていても、実際の機能面においては良くない方も多いため、早くから気づき早期矯正を行っていくのは非常に有効であるそうです。歯を矯正するということは審美的なイメージの向上と捉えてしまいがちですが、機能面での回復をし、更にその先にある健康面につながるということを広く伝えていきたいと思います。