vol.29 「不正咬合は予防できる ~子どもの口腔機能の育て方~」こどもの咬合を考える会
by inoueshika on 3月 25, 2024
テーマ:「不正咬合は予防できる ~子どもの口腔機能の育て方~」
こどもの咬合を考える会 第27回特別講演会
講師:土岐 志麻先生
受講日:令和6年3月10日
レポート:歯科助手 吉田光代
今回の講師の土岐先生は、小児歯科の先生なのですが、大学院では遺伝子の研究などをされていたということで、マウスを使った神経構造のお話や、機能の発達は適齢期があり発達が遅れるなら早期に対処し戻すというお話から始まりました。
「食べる機能」のお話では、授乳期の舌小帯が短くて授乳困難な赤ちゃんの小帯をのばしてあげるトレーニングや、離乳期のタイミングやスプーンの使い方、離乳食を食べることに集中できる環境作りなど、子供は勝手に飲めるのではないし勝手に食べるようになるのではなく、「食べる機能」を発達させてあげるように保護者の手をそえていく大切さや、味覚を覚えさしてあげること、そしてこんな時期からでも体に触れたり話しかけたりするコミュニケーションの大切さのお話が聞けました。
「話す機能」のお話では、口唇閉鎖不全で口がポカンと開いている子供への唇のトレーニングのしかたや、指をしゃぶるくせや爪を噛むくせのある子供へダメと言って無理やりやめさすのではなく、どこに原因があるのを考えて子供の心のケアをしてその時に起きている問題点をしっかり診て保護者に伝え、活舌よく話せるようになるとか綺麗になるなどの目標を持ってもらい、親子で一緒に頑張って治していくという気持ちを作る大切さのお話が聞けました。途中でガムを噛んで正しいガムトレーニングの方法も聞くことができたのですが、噛んでいる時の姿勢や筋肉の動き、前歯で噛む時と奥歯で噛む時の脳みその動きの違いなど、初めて聞いて驚かされることがたくさんありました。
始めに土岐先生の自己紹介の時にクリニックの紹介があったのですが、発達障害や自閉症の患者さんと保護者の方への待合室と診療室の工夫や気使いにとても感動しました。そして定期的に通ってもらうようにする技、赤ちゃんの頃から通ってもらう為の産婦人科とのつながりや、ネットですぐに何でも調べることができる今の世の中で間違った情報を入れてしまった保護者さんのフォローなど、お話をきいていてすごく勉強になることが多かったです。
先生が「できるだけ多くの人数で手をつないで子供を守る」と言っていたのですが、コロナ禍で保健指導など受ける機会が減ってしまったり、検診に行かなくなってしまったりの状況からの今だからこそ、歯科医院に勤めるスタッフの1人として教わったことをしっかり役立てて患者さんと接していきたいと思いました。