子どもの咬合を考える会
「成長発育期にある子どもたちへの矯正治療」

by inoueshika on 6月 19, 2018

2018年5月27日 子どもの咬合を考える会
「成長発育期にある子どもたちへの矯正治療」
講師: 静岡・アヒルの子歯科 塩田雅朗先生


セミナーレポート 東岡 友紀(歯科衛生士)

現代の成長期にある子供の5人に4.5人がなんらかの不正咬合を抱えているそうです。今回の講演会で講師を務めていただきました塩田先生からは、より現代の子供たちに合った矯正治療をということで、Myobrace矯正治療という新しいタイプの矯正治療についてお話をして頂きました。

Myobrace矯正治療とは、専用の装置を就寝時と日中(一時間ほど)装着するという、従来の矯正治療に比べて痛みも少なく、人目を気にせずに行える成長期の子供たちにとって大変良いものであるそうです。
また、固定式の従来の矯正治療と比べて抜歯を必要としない事やブラケットや保定装置を必要としない事、治療期間は長くても二年間である事など沢山のメリットがあります。

そして、この矯正治療で大事とされている事が、正しい呼吸法、嚥下、姿勢を獲得することであり、歯並びはその結果自分本来の正常な発育によって治されていくものであるとされています。不正咬合の原因が口腔の悪習癖ですので、従来のような固定式の装置を入れて無理やり歯並びを整えた所で、悪習癖が治っていなければ治療後の後戻りは避けられません。その為、Myobrace矯正治療は理にかなった良い矯正治療であるとされています。

しかし、装置を正しく使わなければ矯正治療の成功はありません。矯正治療中は子供さん本人またはその親御さんが毎日装置を付け外ししなければならないので、子供さんたちの矯正治療へのモチベーションが不可欠です。
この矯正治療においての成功の鍵は患者教育であるとされています。
短い期間で済むとはいえ、矯正治療は成長期の子供たちにとって煩わしいものだと思います。いかなる矯正治療であっても強制されるより、積極的に治療に参加していただけるように誘導していく、そうような役割を今後スタッフの私たちも担っていけたらと思います。

 

セミナーレポート 太田 愛美(歯科助手)

今回の勉強会では発育期の子どもたちが、抜歯やブラケットを避けることが可能になる「Myobrace矯正」について学びました。

私は歯列不正で、小学一年生の時から矯正治療をしていました。非抜歯でしたが、型を取り上顎に床装置を入れ週一回、顎を広げるために母親にネジを回してもらっていました。その後ブラケットを付け、外した後は保定装置を入れていました。大体の方がこのような流れの矯正治療を受けるものだと考えているかと思います。私もこの仕事に就く前まではそう思っていました。

「Myobrace矯正」は歯並びに悪い習慣を取り除く指導をし、足りないものは“T4K”(筋機能矯正装置)などでトレーニングしていきます。この装置は舌・唇・頬など口唇の筋肉の機能を高め、口呼吸を鼻呼吸にすることや、低位舌を治すことに特化しています。このように歯列不正の原因は遺伝や歯槽骨の形、歯の大きさが原因なのではなく、生活の悪習慣にあるのです。その原因の解消こそが歯列不正の根本的な解決方法であり、治療後の後戻り防止に繋がります。塩田先生は「いつも持っていて無料で使える訓練装置がありますよね?」と私たちに問いました。それが今まで参加させていただいた勉強会で学んだ「口唇閉鎖・舌の挙上」です。その訓練をし、非抜歯ブラケット無しで歯列不正を治すためトレーニングをするのが「Myobrace矯正」です。

現代の子どもの5人に4.5人が不正歯列である、というデータがでています。多くの子どもたちの矯正治療が必要になる中で、抜歯やブラケットを付けなくても歯列不正が治すことが出来る選択肢があることはとても良いと思いました。