vol.28 「不正咬合は予防できる ~歯突起と舌骨が語る口腔機能~」こどもの咬合を考える会 第26回特別講演会

by inoueshika on 5月 25, 2023

テーマ:「不正咬合は予防できる ~歯突起と舌骨が語る口腔機能~」こどもの咬合を考える会 第26回特別講演会
講師:丸茂 義二 先生
受講日:令和5年4月23日

レポート:吉田光代(歯科助手)

補綴専門医であり顎機能治療の専門医の今回の講師の丸茂先生が、顎位と顎機能について長年悩み考えた末の舌骨の働きについてと頚椎歯突起の状態と筋肉の働きなど、普段なかなか聞くことのできないお話の内容はかなり難しかったのですが、とても分かりやすく面白くお話してくださり時間が過ぎるのが早く感じました。

始まりは「体幹」のお話からだったのですが、生まれたての赤ちゃんの時から充分に平らな所で寝かせて手足をばたつかせ筋肉を育てる大事さなど、とても時間をかけてお話してくださりました。先生の考える「寝る子は育つ」の本当の意味は、寝かせ方や寝ている時にいかに自由に体を動かせるかが子供の成長発育の過程で大事な体幹が育つということであり、近年よく見られる丸い体勢で固定する抱っこやグルグル巻きの寝かせ方、筋肉の成長が未熟な赤ちゃんの縦抱っこなどが体幹育成に関わる自発運動を妨げているということ。そしてそれが後に体幹の頂点にある舌骨の位置異常へと繋がっていき、呼吸機能や咀嚼に悪影響を与えるなど改めて生後5ヶ月ぐらいまでの期間の育て方がいかに大切かを教わりました。

後半は舌骨の位置によって咀嚼パターンが異なることや、口蓋の位置によって呼吸パターンが異なるなどのお話や、硬い物をたくさん食べさすことの間違った考えや三叉神経支配の咀嚼と顔面神経支配の咀嚼の大きな違いなど、初めて聞くお話の中で自分の子育てを何度も思い出しました。3ヶ月ぐらいまで座敷に薄い敷物を敷いてずっと寝かせていた私の理由は、単純にいっぱい泣いてバタバタして疲れてくれないとぐっすり眠ってくれないという考えでした。子供が大きくなった時に、もっと抱っこしてあげたらよかったかと思うこともありましたが、今回先生のお話を聞いてなんだか心救われた気がします。

平らな所で寝かせ手足をばたつかせることによって股関節の周りの筋肉と短背筋群を鍛えることで首の筋肉がしっかり育ち、人体の柱である動かない脊柱を作り正しい体幹ができ正しい舌骨の位置にすることは、子供の健康な成長発育に繋がっていくということや生まれたての赤ちゃんが教えなくても出来ることに対して間違ったことを親が教えてしまい正しい成長発育を壊してしまうことなど、今回教わったことを今後の勤務の中で子育て中のたくさんの親御さんに伝えていけたらと思いました。