むし歯治療は、「痛くない」のはもちろんのこと、できる限り「削らず」「抜かず」という考え方を大事にしています。そのためにも早期に治療することをおすすめします。
一度でもむし歯になって治療をした歯は、治療をしたことがない健康な歯よりも再びむし歯になりやすいのです。また、傷んだ部分を削ってつめ物やかぶせ物をすればよいと考えがちですが、そうではありません。毎日、お口の中に熱いものや冷たいものが入ったり、硬いものをかみ砕いたりすることで、本来の歯とそうした人工物の間には、目には見えない微細な隙間がどうしても生じます。そのためそこから菌が侵入し、むし歯が再発することになるのです。
麻酔の注射をする前に、歯ぐきに表面麻酔(ジンジカインゲル)を塗ることで、針が入るのをわかりにくくしています。注射針は痛みを和らげるために開発された33ゲージという世界で最も細い極細のサイズを使用し、ゆっくりと麻酔薬を注入していくことで、注射の際の痛みを和らげるよう心がけています。また、むし歯の部分を取り残すことがないように、齲蝕検知液(むし歯の部分はピンク色に染まる)で歯面を確認しながら削り取っていきます。
表面麻酔 ジンジカインゲル
齲蝕検知液 カリエスチェック
お口の中がどういう状況なのか、その状況に応じてどのような処置をしていくのがふさわしいか、きちんとお話しした上で進めるのが基本です。
まず、レントゲン写真でお口の中を撮影します。デジタルのレントゲン写真ですので、従来よりも少ない線量で撮影できます。また、口腔内カメラでお口の中の写真撮影もします。いずれの画像も診療用チェアに併設しているモニターに映し出し、ご覧いただきます。問題のある部分は拡大し、鏡では見にくい部分もご自身の目で確認できるので、ご納得して治療に参加していただけます。
- デジタル式歯科用パノラマX線診断装置
- 従来のフィルムタイプに比べてX線の被爆量が少なく、すぐにモニターに撮影内容が表示されます。
- ディゴラ・オプティX
(歯科用IPデジタルX線画像システム) - 従来のシステムよりも放射線量が1/4以下で、撮影時間も90%削減されます。
- アイスペシャルC-I
(デジタル口腔撮影装置) - 「山本セラミスト」の山本氏が開発に携った口腔撮影専用デジタルカメラ。
むし歯は長い年月をかけて少しずつ進行していきます。いったん悪くなってしまうと、元の状態に戻ることはありません。むし歯の進行過程は次のように分類されており、それに合わせて治療の内容も変わってきます。
自覚症状が無く、見た目にむし歯とわかりにくいですが、歯の表面に酸の影響が見られるむし歯の前兆段階です。
しっかりとしたホームケア、ブラッシング、フッ素塗布などで、元の健康な歯の状態を取り戻すことが可能です
むし歯の初期段階。歯が変色したりしますが、エナメル質には神経が無く、ほとんど自覚症状がありません。
患部を削ってつめ物をします。レジンという白いプラスチック素材でつめることができます。
冷たいものを飲むと違和感を覚えます。象牙質は溶けやすいので、放置すればこのあと急速に進行します。
麻酔をして患部を削り、つめ物をします。穴が大きい場合は、金属のつめ物や歯の形態のかぶせ物をします。
歯がかなり損失し、穴が象牙質を貫き神経にまで到達しているので、痛みの自覚症状が強くなります。
麻酔をして感染した神経を除去。その後、根の中につめ物をして、歯の形態のかぶせ物でかみ合わせを回復します。
神経が死んで歯が腐ってしまい、痛みを感じない状態です。放置すると根に膿みを持ち激しい痛みが出ます。
状態によりC3の方法で修復処置をします。無理な場合は抜歯をし、ブリッジや部分入れ歯の治療を行います。
せっかく治療した歯は、長く使いたいもの。そのためには定期的なメンテナンスを行うと効果的です。
むし歯は早期発見、早期治療が大切。歯を削る量も少なく、治療も簡単に済み、歯が長持ちすることにもつながります。
治療した部分を良い状態でキープしていくためにも、定期検診でしっかりチェックしてもらいましょう。